牛の歩み

のそりのそり、牛に育てられた人の痕跡を残す

塩辛い

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寄藤文平さんと木村俊介さんの対談に、青山ブックセンターに行ったんだけど、これがもう、大変にお二人のトークにエナジーが足らず、よい聞き疲れでもって、ラーメン屋でタンメンを待つ。

 

タンメン、劇的なしょっぱさ。もやしとキャベツは本来、それぞれの甘味で関係を穏便に保っていただろう。あれでは塩分の圧政だ。麺も出汁も、塩分の圧政下に置かれていた。塩の恐怖政治さながらタンメンは、その後おいしい水で洗い流した。

 

タンメンはさておき、寄藤さんと木村さんは、似たような人ではないし、対談の元になった本である『デザインの仕事』も、異色同士が火花を散らして出来ましたみたいな、二極性のある本に違いないと思ってた。

表現物として、ある落とし所を探ろうとする寄藤さんと、不可解なものを捕捉しようとする木村さんみたいな、見えないけれど、そんな対立がある気がした。

現に、木村さんは「おもしろいですね」を連発していたけれど、寄藤さんは対談中その言葉を発さなかったのではないか。

 

寄藤さんは、あくまで考察した結果としてデザインを考えようとするから、アイデアの端緒をおもしろがることなく、単純に判断の材料にしていて、創作の過程でその端緒をどのように位置づけるか、またはそれが必要ないことを説明するかに重きをおいていそうだった。

それに対して木村さんは、言葉を捉えては「おもしろ」がって見せ、話を別の方向に展開させる。アイデアの終着点が見えない、ゴール無しのスリリングさもありながら、言葉を違った視点から重ねて、説明できない事柄に漸近するように見えた。

 

ただ、お二人とも「その人がその人であるよう」で、言葉の通りだった。すげえ。ああなりたい。力が足らん。夢想だけしていればよい大学生とは、今の状況は甚だしく違っていた。びっくりだ。

 

てなわけで、力をつけよう。本がどうではなく、良い本を作れるように技を磨こう。うっし!

 

表参道がむさ苦しく、悔しく、前にお世話になった人に挨拶もせず。無礼だったかもしれないが、久々の本屋イベントは、甚だしいものを己に打ちつけたかもしれない。